さて前回のつづきですが、
時々私が呼び出される問題はキッチンコンロの二口・コンロのバーナー部がSUS430のバーリング(穴広げ)加工でプレス割れが発生することが度々あり、頻繁に私が呼び出されました。事件は色々なパターンがありました。
1) 傷つき防止のための薄いポリエチレンフィルムが張ってある場合、このフィルムが潤滑性を持っており絞り油不要なのに油を両面に塗り、その結果潤滑過多となり製品に歪みが出た。金型を脱脂洗浄し潤滑油無しで絞ることで所定の形状が出るようになった。
2) 天板のバーナー部穴広げ加工(バーリング加工)での割れ発生は若干苦労しました。古い金型でパンチとダイのクリアランスが広がっており下穴の打ち抜き工程でバリが高く、このバリが切り欠き感受性が高くなり起点となり割れが発生しました。根本解決として抜き金型を作り直すか研磨修正することを頼みましたが、当面の生産の為に120μmm厚みの塩化ビニール製ステンレス表面保護フィルムを素材に貼り、金型のクリアランスを詰めて抜くことでバリは低くなりました。しかしまだ四隅のコーナー部の割れや皺が発生しました。
3) ここで重大なことに気が付きました。この工場では一般的に絞り工程で潤滑油を殆ど使っていないのです。朝、稼働開始時に塗ってそのままだということで、なんの油かも分からず、当方が持参した日本工作油製ステンレス絞り油を提供し成形が成功したことがありましたが、そんな高価な油は買わないと言われました。社長は15分ほどいなくなると一升瓶程度のガラス瓶に透明の油を持ってきて、それをアンコイラーの先の金型の直前に滴下出来る様にセットしました。これで全く問題なく成形できるようになりました。
つづく。次回もこのつづきからスタートです!お楽しみに~♪