最近の技術では水溶性油を使う事例が増えています。
鋼板のプレス加工で金型との強接触による発熱を抑え
潤滑性を発揮します。金型の冷却能がとても優れているので
焼きつき防止に大変効果が有ります。後工程の洗浄も楽で使い
こなすととても便利で高性能な潤滑油です。
しかし水溶性ですから加工設備の防錆処置をしないといけません。
グリース部のシールド化、ベアリングの防水処理、
あらゆる箇所の防錆処置の配慮が必要です。
さらに水溶性油は水と油がエマルジョン状態(懸濁状態)に
なっている、即ち水の中に細かく油が分散しているのです。
塗布してから少し時間をおいてある程度水分を飛ばしてから
加工するとより潤滑性が発揮されます。スプレー状で散布し、
蒸発しやすくする工夫は効果的です。
ステンレスなどの難加工材の焼きつけ効果を防ぐ優秀な加工油に
なりつつ有ります。絞り屋さんや自動車ボディー製造ラインなどで
積極的に水溶性を使っている方が増えてきました。
希釈するには普通の水で良いし消防法の可燃物ではないので
保管も楽です。一方、非水溶性の従来タイプ石油系潤滑油は
希釈油の使用で油の性能が若干変ることさらに
可燃物の為消防法の規制対象となります。
廃棄も特段の配慮が必要です。
ただ強度な加工・金型への負荷の激しい加工・温度が
上がりやすい加工環境・防錆能力・金型や設備の維持管理環境
などの条件では水溶性油が使えない状況はたくさんあります。
全ての金属加工用潤滑剤が水溶性になることは無いでしょう。